こんにちは。NottingHillです。
今日は私が最も好きと言っても過言ではない、マルタン・マルジェラ(メゾン・マルジェラ)の3つの魅力について書いてみたいと思います。
マルタン・マルジェラはベルギー出身のデザイナー、マルタン・マルジェラ氏によって1988年にパリで設立されました。
自身のブランドを立ち上げる前はジャン=ポール・ゴルチエ氏の下でアシスタントを務めていたことや、コムデギャルソンの創始者、川久保玲氏の影響を受けたことでも知られています。
今では欧米のみならず、日本をはじめとしたアジアでも大人気のブランドに成長しています。
ベールに包まれたミステリアスさ

なんと言っても、マルジェラの特長としてその「ミステリアスさ」が挙げられます。
これだけのブランドの創始者でありながら、マルジェラ氏の詳細は、ほとんど明らかになっていません。
雑誌などメディアのインタビューにも本人が直接応じることはほとんどなく、応じる場合でもファックスで回答することが常だったようです。
そんなマルジェラ氏ですが、実は本人は2008年にファッション業界から引退しています。
その後マルタン・マルジェラは2014年より、ジバンシィやクリスチャン・ディオールでもデザイナーを務めたイギリス人のジョン・ガリアーノ氏がクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを担っています。
ブランド名が「メゾン・マルタン・マルジェラ」から「メゾン・マルジェラ」に変わったのもこの時からです。
「反モード」の哲学性
モードの文脈の中で語られることの多いマルジェラですが、実はブランドの哲学は「反モード」です。
高価な素材を散りばめた一部の富裕層のための当時の「モード」に反旗を翻し、ファッション業界に新たな息吹を吹き込もうとしました。
一例として、わざとダメージ加工をほどこした作品を発表したり、ミリタリーアイテムのリメイクを重視したりしました。
パッチワークや異素材を重視するなど、こういった手法は「貧困者風」デザインとして、マルジェラを代表する作風となっています。
タグに込められたブランド哲学
このようなマルジェラの哲学が最も端的に示されているのが、ブランドのタグではないでしょうか。
四隅に白い糸が縫い合わされている、あのタグのことです。

初めはあれがブランドタグとは分からず、仮縫いの糸だと思いはさみで切って外してしまったこともあります。(タグを切って身につけていらっしゃる方も、もちろん大勢いらっしゃいます)
実はそれこそがマルジェラの意図で、仮にブランドのタグを外したとしても、「アイテムそのものとしての価値で勝負できるような作品にしたい」ということなのですね。

同じくマルジェラのタグである、数字でコレクションのラインを示す「カレンダータグ」を見てもお分かりのように、ブランド名は極力排した中に物としての価値を見いだすマルジェラ氏の哲学が息づいています。
しっかりと「自分」を持った、「固定概念」を覆すファッション。素材やデザインの良さももちろんですが、この強いメッセージ性が、マルジェラの人気を支えているのではないでしょうか。